現役の福祉職兼心理カウンセラーの資格をもつ篠原です。
介護や福祉の会社に就職すると必ず何かしらの問題や不満が出てきますよね。
最初から自分や職員と100%完全に価値観が一致し、働きやすい職場があればいいですが、現実はありません。
その際、管理者は施設長、上司などと話をしたかと思います。
しかし勇気を振り絞り、言ったにも関わらず、多くの職員から聞かれる反応は多くはこんな気持ちが多いのではないでしょうか?
上に言っても何も変わらない。上は何もしてくれない。この施設はダメだ。
介護職福祉職の退職理由の多くにも「会社との価値観が合わない」ということが挙げられています。
しかし、これが重要だと思います。その組織の会社や状態にも色々あり見極めることが必要ではないか?と思います。
- どうしたって何も変わらない会社や管理者(上司)。職員からの訴えを変えようと全く思わない腐った会社。
- 訴えていることはその通りと理解してくれているが、急にそれが会社や組織として「今は」できない。でも取り組む姿勢や気持ちはある。
- 取り組む姿勢はあるが、上司や管理者が「現場の悩み」を理解できない。
それはもしかすると職員側の訴え方が「独りよがりの訴え方」をしていて「上は何も変わらない」と感じていたら?
そうです。例えば恋愛だったらどうでしょうか?どうゆう風に好きな相手にアプローチしますか?
ですよね。ここで独りよがりの訴え方って例えば恋愛で言ったら、食事もデートもしないで初対面に近い状態でお付き合いの告白してしまうことですね。されたらどう思いますか?
どうしたって変わらない腐った会社や組織はある。
でももし中には管理者や施設長に伝わらない訴え方をしていたのなら?
そこは、なんとかなるかも。
「社内政治力」とでも言いますか管理者やトップにその考えをどうやったら伝わり変えてくれるかということですね。この記事で書いていこうと思います。
Contents
なぜ現場職員の話を受け入れてもらえないのか?

そもそもなぜ現場の職員の話を受け入れてもらえないのでしょうか?せっかく勇気を振り絞り管理者に話したところで結局門前払いで変わらないことが多いですよね。
なぜでしょうか?理由をいくつか考えてみましょう。
そもそも相談する相手を間違えている
同じ会社の上司や管理者とはいえ考え方価値観がバラバラです。そもそも相談する相手を間違えると「通る話も通らない」ことがあります。
もし「福祉は自己犠牲」という価値観で仕事しているフロアリーダがいたとして、その人に労働環境を整えることをお願いしたらどうなるでしょうか?ちゃんと管理職に訴えてくれたり動いてくれますかね?
その場合直接、理事長や管理者と話せる労使交渉などの手段を使うのが良いですね。
伝わらない人に伝えても伝わらない。
相談する順番を間違えている
「有給を取得できるようにしたい」ということを訴えるとして、それを問題視している人が現場の職員一人だったら施設長に訴えたところでたくさんある問題の中でそれを早急に取り組もうとは思いません。
「◯◯主任も◯◯係長もこの話をしたら同意してくれた」というお墨付きが得られれば、流石にすぐに動かざる得ません。
話す順番を考えることで、味方を増やして交渉に行く
5W1Hで話していない。伝わるように話していない
相手に伝わらない話し方をしても伝わりません。本人は伝わっていると思っても相手には全然伝わっていないということがたくさんあります。
例えば「人員を増やして欲しい」という訴えがあったら。
- いきなり「人を増やして欲しい」と結論だけ伝える。
- 「なぜ人員が必要か」まとまっていない。
- 理由が「自分勝手な理由」など
- だらだら長く話す etc
篠原相手も人間なのでわかるように訴えないと伝わりませんね。
一人で考えたことって大体主観的です。それを人に伝えても「え?なんで?」とか「どういう意味?」とか結構あります。
まず信頼ある職員と話してみて内容を煮詰めるということも大事。
自分一人で考えたことって結構独りよがりになっていることが多い。信頼ある職員に話し、相手に伝わるように内容を煮つめよう。5W1Hやwordでまとめるなど工夫して。
作戦を考えず、感情に任せて訴えてしまう
相手も人間ですから「伝え方」「伝わり方」一つで変わります。
一人で相談に行くか?みんなで相談に行くか?一人で行くけどもみんなの悩みなのか?内容はどう伝えるか?これは結構大事です。それも含めて信頼ある職員と話した方がいいですね。

信頼ある職員と相談し、作戦をある程度考えよう。
「誰に?」「何を?」「どのように伝えれば伝わるか?」
2番手が阻止することを把握しておく。
リーダーが良くても周りの2番手にあたる人が内容を阻止することがあります。
例えば施設長に提案したとして、施設長は提案内容を周りの管理者や下の部下に提案内容を相談します。
そうするとだいたい否定されます。「これはよくない」「この問題が起きたらどうするんだ」など施設長がよくても周りの人は、めんどくさかったり自分の立場が危うかったりするので「出来ない理由を並べます」。

問題を解決する人がいれば、阻止する人もいる。組織の構成をよく考えて作戦を練りましょう。
管理者が置かれている3つの状況を理解し、交渉を優位に進める

聞き入れてもらえないということに現場と管理の置かれている状況が違い、考えていることが違うと言うことが挙げられます。
男女でも男性と女性が考えていることが違うのですれ違うのように、現場と管理では仕事からの悩みの種類が全く違うのです。
男女で言えば、異性の悩みは違うものが多いですが「それを相手を一方的に否定」していたらどうなるでしょうか?
関係が壊れますね。「自分たちの立場を訴えること」と「相手の立場を理解すること」が大事ですね。
交渉するには恋愛と同じように相手の立場を理解する必要がありますね。では管理者が置かれている立場や悩むことはなんでしょうか?3つ考えてみました。
情報が集中し、全体を考えなくてはならない立場
管理者や施設長など上の立場の人に情報が集中します。情報の洪水になりますね。しかも全体を考えなくてはなりません。一人の人や部署を優遇するわけにもいきません。
管理者は採算が合うかどうかを気にしている
家の家計簿などをつけている人ならわかりますが、お金の採算を合わせるというのはかなりのストレスはです。
それぐらい組織の採算を合わせるということは重圧に耐えています。簡単に人を増やせとはいうけれど、人件費が合わないとなかなか行動できないのもよくわかります。倒産してしまえば利用者も職員も家族も行き場所を失ってしまうからです。このプレッシャーは計り知れません。
体ではなく頭を使う仕事が山ほどある
現場は体を使う仕事で大変ですが、管理者は頭を酷使する仕事です。
利用者募集、労務管理、人事、監査(実地指導)、会計、職員募集、人材育成、広報etc。
考えることが山ほどあります。次から次へと色々なことが舞い込んできます。現場の職員は現場を離れればそれで仕事は終わりですが、管理者となると考えることなのでプライベートでも考えていることが多いです。休まる暇がありません。
管理と現場では大変やストレスの「種類」が違う。相手の立場を理解した提案も大事。
管理者との交渉するための6つのポイント

では管理者の立場や悩みを理解したところで実際に管理者と交渉するための6つのポイントを解説したいと思います。
✅起承転結、5W1Hを考え内容をまとめる
✅信頼ある職員と意見をすり合わせる
✅根回ししておく
✅何人かで交渉しにいく
✅winwinの提案を心がける
✅一度に多くの変化を求めない
起承転結、5W1Hを考え内容をまとめる
管理者が現場の状況を理解していると思ったら大間違いで、今の現場の問題を説明する必要があります。起承転結や5W1Hなどを使い、文章をまとめてみましょう。
- なぜ →そもそもなぜ有給が取れないのか?の説明。
- 何? →有給は取れて当たり前。労働者の権利。管理者が拒めるのは「時季変更だけ」
- どのように →現場でも工夫したがそもそも人数居なくて無理。人を増やして欲しい。
信頼ある職員と意見を擦り合わせておく
作った文章などを信頼ある職員とよく擦り合わせて起きましょう。個人個人で管理者と話したところでそれぞれがバラバラのことを言われてもトンチンカンになってしまいます。今ではLineなどもありますし、連携は取りやすいです。お茶をしてもいいですし、飲みに言っても良いですね。何が問題でどう解決したら良いか、どう訴えていくか、擦り合わせが必要です。
- 訴える内容は?それで伝わるか?
- 味方になってくれる上司は居ないか?
- 根回しした方が良い上司や職員はいるか?
- 誰が交渉に参加できるか?
根回ししておく〜2番手の上司を仲間につける
管理者にいきなり行くと否定されたり、管理者が下のリーダーに相談した時に否定されるので、抑えとくべきは話のわかる2番手に言うか、反対意見を出すであろう上司に先に相談してしまうことですね。
管理補佐?主任?副管理?そのような人たちで話がわかる人に、あらかじめ相談や話をしておきます。すると管理者から相談を持ちかけられた時に味方になってくれたり、先に反対意見を潰せます。
- 先に反対意見を聞けるので管理者に言うときに反対意見の反論を提案できる
- 管理者に言う前に「相談したい」と言うことで「2番手上司の存在価値」をあげられる
- 2番手上司が、相談相手となることで味方になってくれる
何人かで交渉に行くか、行けないなら複数の悩みと言うことにしておく
一人で行くと結局その人だけの考えでしょ?と思われがちなので複数人で交渉に行きます。仮に時間的に一人でないと無理なら複数人の悩みということにします。一人で交渉に行くと組織の悪者にされることがあるので、悪者にしないためにも複数人で行くのが良いでしょう。
winwinの提案を心がける
恋愛と同じように相手に一方的に頑張らせるのではなく、自分たちもここは頑張れるから管理者もここを頑張ってくれ。というように組織にとってプラスという提案を心がけます。職員の人数増なら、何人までなら採算が合うのか?一緒に考えるなどですね。
- 現場の職員の悩みの大きなものに有給があり、それが解決できれば離職率が減らせる。
- 人材募集なら知り合いに声をかけ一緒になって募集する。
- 5日間の有給義務を果たせれば罰金が免れる。
一度に多くの変化を求めない。交渉は将棋と同じ
私たちは1回の話し合いで多くの変化を求めてしまいがちですが、管理者も組織も変化を臨も変化を恐れます。ですから一度に多くの変化を求めないことが大事です。その代わり少しずつでも確実に前に進めていきます。
いきなり将棋でいうと「王手」はできません。駒を少しずつ進めジリジリ詰めて、最終的に王を逃げられないところに追い込んで行きます。というように一度にたくさんの変化を求めず何度も何度も交渉を積み重ねるということが大事になります。
まとめ〜自分の気持ちやストレスを常に信頼ある職員と共有しまとめておこう

介護や福祉は自己犠牲が強く我慢することを強いられたり、我慢が美徳とする価値観の人も多いです。それゆえ我慢の限界まで耐えて、しまいには我慢を超えて退職になってしまいます。
利用者や職員、会社にとっても良い職員には長く残って欲しいですよね。ならば自分たちのストレスや気持ちを我慢しすぎては続きません。
ですから普段から信頼る職員に愚痴を吐いたり、気持ちや考えをまとめておきます。そして管理者と何度も話し会う気持ちでいましょう。
自分たちのストレスや悩みを信頼ある職員と話し、どうしたら解決するか日々考えておく。