篠原です。
2019年10月より福祉介護特定処遇改善加算導入(以下特定加算)されました。
ところが実際はかなり難しい内容となっており導入を見送った施設もあります。
内容も複雑で難しくてよく分からないという声も多数。
そこでこの記事では福祉・介護特定処遇改善加算をわかりやすく解説して,転職や自分たちの施設に導入し、処遇をあげられるきっかけになればと思います。
なおベースになっている福祉・介護処遇(特別)改善加算はこちらの記事が役に立ちます。

なお福祉・介護特定処遇加算の資料はこちらのページにあります。ちなみに介護の介護特定処遇加算は少し内容が違うのでお間違えなく。
Contents
そもそも福祉・介護特定処遇改善加算って?なんの目的で作られたの?


処遇改善加算は「職員の処遇改善」を行うとともに「キャリア」に関する整備や「働く環境を整える」ことを満たすことで加算がもらえます。
2019年10月より始まった特定処遇改善加算の目的は下記に書いてあります。
引用:厚生労働省 福祉・介護職員特定処遇加算に関する基本的考え方
1、基本的考え方
(中略)
2019年度の障害福祉サービス等報酬改定においては、職員の確保・定着につなげてい くため、現行加算に加え、特定加算を創設することとし、経験・技能のある障害福祉人 材に重点化しつつ、職員の更なる処遇改善を行うとともに、障害福祉人材の更なる処遇 改善という趣旨を損なわない程度において、一定程度他の職種の処遇改善も行うことが できる柔軟な運用を認めることとしたものである。
そもそもこの加算の狙いとして経験のある人材に福祉業界に残ってもらったり、長く続けるモチベーションのきっかけだと思うのですが、これをするために職員を3つの階層に分けます。
この3つに分けるというグループ分けがそもそも職場にトラブルをもたらすのでは?と考え、特定加算を見送っている施設もあります。
加算なので提供した福祉サービスに付けられる
特定加算は今までの処遇改善加算と同様、サービスに対しての加算として付けられます。請求業務をしたことがある人ならわかりますが、「同行援護」「行動援護」などのサービスの請求に対して、◯パーセント上乗せして付けられます。
加算表は下記になります。
引用
職員を3つ【A,B,C】のグループに分ける
特定処遇改善加算では職員をA,B,Cの三つの3つのグループに分けます。この特定処遇改善加算のポイントになるところです。
3つのグループを下記のように分けます。
A=経験・技能のある障害福祉人材
B=他の障害福祉人材
C=そのほかの職種
グループ分けのポイントは次の段落で詳しく解説しています。
加算になる職種、加算を受けられない職種もある。
加算の対象になる職種は下記です。
ホームヘルパー、生活支援員、児童指導員、指導員、保育士、障害福祉サービス経験者、 世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、訪問支援員
加算の対象にならない職種があります。
就労定着支援、自立生活援助、地域相談支援、計画相談支援、障害児相談支援 は算定対象外とする。
加算の対象にはならないだけで、特定処遇改善加算の恩恵を受けられないというわけではなく、それは法人毎の判断の裁量に任せられます。
具体的なグループ分けの内容は?

では具体的にどのようにグループを分けるか見てみましょう。まずは3つのグループ分けの詳細です。原文を見てみますね
3つのグループ分け引用 厚生労働省 福祉・介護職員特定処遇加算に関する基本的考え方
a 経験・技能のある障害福祉人材
以下のいずれかに該当する職員であって、経験・技能を有する障害福祉人材 と認められる者をいう。 具体的には、以下の要件に該当するとともに、所属する法人等における勤続 年数10年以上の職員を基本としつつ、他の法人における経験や、当該職員の業 務や技能等を踏まえ、各事業所の裁量で設定することとする。
・福祉・介護職員のうち介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士又は 保育士のいずれかの資格を保有する者
・心理指導担当職員(公認心理師含む)
・サービス管理責任者
・児童発達支援管理責任者
・サービス提供責任者b 他の障害福祉人材
・経験・技能のある障害福祉人材に該当しない福祉・介護職員、
・心理指導担当 職員(公認心理師含む)、
・サービス管理責任者、
・児童発達支援管理責任者、
・サ ービス提供責任者c その他の職種
障害福祉人材以外の職員をいう。この他にも色々条件があります。詳しくみていきます。
A=経験技能のある障害福祉人材。その実態は?
経験技能のある障害福祉人材です。原文にも書いてある通りです。
☑︎所属する法人等に置ける等の経験が10年
☑︎10年という経験年数の設定は法人の裁量次第。転職前の経験が入るかなど。
☑︎介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士又は 保育士のいずれかの資格を保有する福祉職員
☑︎資格がなくとも・心理指導担当職員(公認心理師含む)・サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者・サービス提供責任者なら良い。
☑︎Aのグループの1人以上は、賃金改善に要する費用の見込額が月額平均8万円以上又は賃金改善後の賃金の見込額が年額440万円以上であること。
☑︎現に賃金が年額440万円以上の者がいる場合にはこの限りでなく、当該要件は満たして いるものとする
☑︎平均賃金改善額をCグループを1とするとBグループを2、Aグループを4とする。
平均賃金改善額の割合 A:B:C=4:2:1 とする。
Bグループ=他の障害福祉人材。その実態は?
次にBグループの「他の障害福祉人材」をみていきましょう。
☑︎経験・技能のある障害福祉人材に該当しない福祉・介護職員、
☑︎心理指導担当 職員(公認心理師含む)、
☑︎サービス管理責任者、
☑︎児童発達支援管理責任者、
☑︎サ ービス提供責任者
☑︎平均賃金改善額をCグループを1とするとBグループを2、Aグループを4とする。
平均賃金改善学の割合 A:B:C=4:2:1 とする。
C=その他の職種。その実態は?
最後のCグループ「その他の職種」です。これにも色々設定があります。
☑︎AやBグループ以外の職員。事務員、相談員etc
☑︎賃金改善後の賃金の見込額が年額440万円を上回らないこと
☑︎賃金改善前の賃金がすでに年額440万円を上回る場合には、当該職員は特定加算による賃金改善の対象とならない
自分の法人がどの加算を取得しているか知るには?

現在就職している法人や転職しようとしている施設がどの程度の加算を取得しているか、県のHPなどで確認することができます。
県のHPなどで「障害者施設」「体制状況」などの検索で見ることができます。
例)埼玉県の場合こちら
埼玉県ホームページ→障害者福祉施設向け情報→体制状況一覧
結局は職員を大事にしている法人かどうか?職員として制度を学び法人に訴えることはできる。

福祉・介護特定処遇改善加算は複雑で、その裁量は法人に委ねられるところが大きいということがわかりました。
つまり法人の試行錯誤、創意工夫次第で月8万と行かなくても少しでも職員の処遇はあげられる方向に努力している施設かわかってしまいますね。