2019年9月ぐらいに私が勤めている法人から職員宛てに特定処遇改善加算についてこんなお知らせがありました。
2019年10月の特定処遇改善加算を見送ります。なぜなら職員間の混乱を招くから。(かなり簡素化しています)
特定処遇改善加算とは2019年10月から始まった「中堅職員の評価と待遇」を上げるために始まった加算ですね。その謳い文句はすごいインパクトがありました。
謳い文句通りに行けば10年経験すれば「月8万」上がり年収96万上がる。(実際は上がりませんよ。)
子育て世代の篠原も福祉職ですので「年間96万上がれば家計も楽になるのでは!」とても期待し楽しみにしていました。しかし法人からは上の通知。
しかし、通知の最後にこんな付け加えが。
ただし意見があれば随時受け付けます。
そう、私の法人は言えば話を聞いてくれる法人です。職員や利用者のためになると思えば導入も検討してくれる法人なんです。
訴えるとなると自分でしっかり勉強しないと訴えることはできません。もちろん勤務中にそれを行うことはできません。しかしそれでも私には勉強するメリットがありました。
- 自分が勉強し、意見をまとめ、訴えることで、次の何かに繋がるだろう
- 導入されたら自分のためにも他の職員のためにもなる
- 周り回って法人のためにもなる
- 勉強したことをブログ記事にまとめてしまえば、自分や読者のためにもなる
ということで、篠原が率先してやることにしました。ちなみに私が勉強し作った記事がこちら。

この記事では実際に行ったことを時系列で書くことで下記を目的としています。
特定処遇改善加算を見送った法人に職員が訴えることで実際に取得までの道のりを書くことで
- まだ導入されていない他の法人への道筋になる
- 他のことで上司や経営者との交渉の仕方の参考になる
Contents
私が法人に訴えるために行った6つのこと

- 原文を読み込んだ
- 他法人の資料や検索で調べまくった
- 自分の意見をまとめた
- 信頼ある職員に見てもらって、さらに意見を改善した
- トップに提出した
- 管理者などの話を聞き意見交換した
1、原文を読み込んだ
まずはお役所が出している「原文」を読み込みむことが大事です。法人が出している資料などは結局はこの原文を約しているので法人ごとの解釈が入っているからです。
実際原文を知らないと複雑な制度を「法人ごとの解釈」で決まってしまいます。理事長か管理者の解釈で決まってしまうことがほとんどです。
例えば2019年10月に私たちの法人が特定処遇改善加算を見送った理由に「職員間の分断を招くから」というものでした。「中堅職員」の待遇をよくするために、3つのグループを作り分けるからです。
確かに下手にやると分断を招くと思いましたが、しっかり原文を読み込んで見ると「グループは法人毎の柔軟な設定が出来る」ということで、ならばここを訴えれば「分断は招かない」と思いました。
原文は下記です。
管理者に当たる人は日々このようなお役所からの文章を読み込んでいます。現場からしたら管理者に当たる人たちは体を使う仕事ではないから楽そうに見えますが頭の中で必死に汗をかいて考えています。
2、他の法人の資料や検索で調べまくった
次に行ったことは他の法人で実際に行われている資料や検索して他の法人の介護職員や福祉職員などの体験談やブログを読み込みました。
管理者が参加した特定処遇改善加算の勉強会などの資料が法人から配られ、今回はそれも読み込みました。
ここで力を発揮するのが1で行った「原文の読み込み」です。体験談や実際に行ったことはあくまでその法人毎の解釈がかなり入っており、原文が頭に入っていれば「元のルール」が分かっているので、その法人が実際にどういう考えでどうやったか(やらなかった)が分かるのです。
法人が言ってた「分断のリスク」というのがよくわかりました。実際に職員を3つのグループに分けます。
厚生労働省 福祉・介護職員特定処遇加算に関する基本的考え方
よりP4より引用b 当該事業所における経験・技能のある障害福祉人材の賃金改善に要する費用 の見込額の平均が、他の障害福祉人材の賃金改善に要する費用の見込額の平均 5 の2倍以上であること。
c 他の障害福祉人材の賃金改善に要する費用の見込額の平均が、その他の職種 の賃金改善に要する費用の見込額の平均の2倍以上であること。ただし、その 他の職種の平均賃金額が他の障害福祉人材の平均賃金額を上回らない場合は この限りでないこと。
法人の言う通りこれは一筋縄では行かないと言うのがわかりました。ですからそれも踏まえて私なりの意見を伝えようと思いました。
3、自分の意見をまとめた
次に自分の意見をwordでまとめました。結構この作業は大変で、嫌がる人が多く、いきなり口頭で伝えたりする人が多いですが、「この自分の意見をまとめると言う作業」がとても大事なんです。
- 自分の言いたいことがまとまる
- 起承転結で相手に言いたいことが伝えられる
- 逆に言わなくていいことが削られる
- めんどくさい作業だが、多くの人に言いたいことが伝わり、感謝される
- 繰り返して行くと交渉力が身に付く etc
最終的に今回はしっかりとワードでまとめて意見として提出しましたが、管理者や運営側と面談や話す際もメモで良いので自分の意見や言いたいことを紙に書き出すことで、自分の意見や言いたいことがまとまり話しやすくなります。
まずは紙とペンを使い、自分の意見を書き出すだけ。
綺麗にまとめるのは二の次で、とにかく意見や言いたいことをぐちゃぐちゃでいいから書き出す!
- 確かにこの制度を導入することで下手をすると法人の言う通り職員の分断の恐れがある
- とはいえ「4:2:1」の設定は各法人で柔軟に設定できるし、実際に行っている法人もある
- 多くの職員はこの特定処遇改善加算の目的と仕組みをいまいち理解していないのでは?それで「多くもらった」「もらえなかった」と言う結果だけで判断することが分断の原因になると予想されるので、そこを説明し話し合ってもらったら?つまり職員が自分達で学び、決め、納得すれば分断はないのでは?
- ほとんどの職員が子育て世代。月数万でも待遇が改善されれば本当にありがたいし、職員の待遇改善がされれば、新しい職員を呼び込みやすくなるだろうし、結果利用者や法人のためにもなる。
- 消費税が10%に上がる。年収が400万だとすれば10%だと40万が消費税。8%だと32万が消費税。40万ー32万で8万給料が下がったのと同じ。この年収だと多くの職員が生活もギリギリで余裕がない。転職も考えてしまう。その分の補填が少しでも必要。
これだけでも実際に運営会議にかけられ、半年後に導入の方向となりました。
4、信頼ある職員に意見を見てもらいさらに意見を改善した
運営側に提出する意見書なので、大事なことは「相手に伝わる内容」ですよね。せっかくの良い意見も「言い回しや表現の仕方」などが悪く、そこを突かれて意見が通らないと言うことが多々ありました。
信頼ある職員に事前い意見を共有することで「信頼ある職員が味方」になってくれます。個人での訴えではなく集団での訴えに変わるのです。法人側も個人の意見なのか集団の意見なのかで対応も変わります。
- 自分独自の意見や表現が客観的に見てもらうことで、さらに説得力を増した運営側に伝わる内容や表現に変わる
- 信頼ある職員が仲間になってくれ、個人の訴えが「集団の訴え」に変わる
5、法人のトップに意見を提出した
理事長か?管理者か?面談形式をとるのか?個人か集団の意見(書)を提出するのかはその内容により違いますね。
他の業務なども重なり時間もなく、組合や職員代表のような全ての職員の意見を集めることは不可能だったので、「一部の職員の賛同を得た個人の意見」です。という形にしました。
数ヶ月後の運営会議にて私の意見が取り上げられ、実際に半年間揉まれ、導入の方向となりました。
内容により面談が良いのか?意見書が良いのか?管理者が良いのか?理事長が良いのか?変わる。
「誰に」「どのように」「どのような内容で」伝えたら伝わりやすくなるか?
考えてみましょう。
6、管理者などの話を聞き意見交換した
法人の給料などは法人の運営会議や理事会が決めています。会議などでは実際に色々な意見が出されたと思います。分断のリスクを抱えながらも、なんとか職員の待遇はあげたい。そのためにはどうしたら良いか?どういう判断が法人にとって良いのか?答えのない答えをどこかで出さないといけません。苦渋の決断の内容もあります。
運営会議に参加している人はかなりの責任の上話し合いが行われていることでしょう。そこでその会議に参加されている管理者などの話を聞き、フォローしました。
- 原文を読み込んだ
- 他法人の資料や検索で調べまくった
- 自分の意見をまとめた
- 信頼ある職員に見てもらって、さらに意見を改善した
この4つの作業をしているからこそ、運営会議参加者の話も聞くことができ、また意見も言うことができます。
約半年かかり結果特定処遇改善加算が導入される
結果導入されることになりましたが、おかげでたくさんのメリットもありました。
- 自分の処遇も改善された
- 他の職員に感謝された
- 勉強になり、ブログの記事にも出来た
- 時間がかかったがしっかり勉強し意見をまとめ訴えることで運営と協力し、自分達の意見が交渉できるという自信にもなった
しかし、今回は結果うまく行きましたが、勉強し、自分の意見をまとめ、訴えることでこんなデメリットが生じることがあります。
- 自分が矢面に立つことで意見の違う人に文句などを言われることもある
- プライベート時間の勉強や作業になるので、私の場合ブログ記事に反映もできるが、プライベートの時間を削られる
- 余計な作業が増える
まとめ 自分の法人は自分達で良くして行くという気持ちで

法人や施設の中にはどうしようもない法人や施設もあります。しかししっかり勉強し訴えることで職員の意見を聞いてくれる法人や施設もあります。どうしようもない法人や施設ならば転職した方が早いですが、もし少しでも良い法人なら少しでも職員側から訴えて変えてこうという姿勢が大事ですね。
デメリットのところでも挙げられた「矢面に立つことで嫌われるのではないか?」という不安ですよね。これが訴えることでの最大の壁になります。
その人はぜひこの「メンタルを鍛えよう」という記事が役に立ちます。自己肯定感を育んで人間関係のストレスに強くなる記事です。

法人や管理者の具体的な交渉はこちら。
