篠原です。
福祉や介護の仕事は離職率が高く、誰もがいつなんどき退職するかわからない仕事です。退職後に生活を安定させ、次の仕事探しの糧にできるのが「失業保険」ですね。
実際一度も受けたことがない人にしたらわからない制度です。
逆に「失業保険があるから大丈夫」とすぐに会社を退職し、3ヶ月受給がなく苦しい状態だったという人もいなくはないでしょう。
ここでは離職率が高い介護や福祉の仕事に就く私たちだからこそ、失業保険というものを知り、いざ退職したという時のために失業保険が活用できるよう解説したいと思います。
失業保険とは?篠原の体験も踏まえ失業保険の疑問をわかりやすく解説
Contents
失業保険とは?失業保険の疑問をわかりやすく解説

- そもそも失業保険ってなんなの?
- 退職したら手続きは必要?どこへ行けばいいの?何を持っていけばいいの?
- すぐにもらえるの?どのくらいの期間もらえるの?
- いくら貰えるの?
- 一度説明会に出たら何もしなくても貰えるものなの?
- 失業保険を貰った方が得だから転職に時間をかけた方がいいの?
1、そもそも失業保険ってなんなの?誰でも受けられるの?
雇用保険制度とは 厚生労働省HPより引用
労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給します。また、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進等をはかるための二事業を行っています。
ただしあくまで失業保険には定義があります。
「失業」とは、離職した方が、「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にある」ことをいいます。したがって、次のような状態にあるときは、失業給付を受けることができません。
・病気やけがのために、すぐには就職できないとき
・妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
・結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
「失業状態」であることと、「雇用保険の期間」により受給資格があるか決まります。
基本手当の受給資格 厚生労働省ハローワーク 退職のパンフレットより引用
◆ 原則として、離職の⽇以前2年間に 12 か月以上被保険者期間がある。
◆ 倒産・解雇等による離職の場合(特定受給資格者に該当)、期間の定めのある労働契約が更新され なかったことその他やむを得ない理由による離職の場合(特定理由離職者に該当)(※2)は、 離職の⽇以前1年間に6か⽉以上被保険者期間がある。
2、退職したら手続きは必要?どこへ行けばいいの?何を持っていけばいいの?
失業保険は退職したら自動的にもらえるというわけではありません。自分でしっかりと申請する必要があります。
厚生労働省:全国のハローワーク所在案内
ハローワークに持参する前の書類手続き雇用保険具体的手続き ハローワークインターネットサービスより引用
在職中に「雇用保険被保険者証」の有無を確認してください。また、会社がハローワークに提出する「離職証明書」については、離職前に本人が記名押印又は自筆による署名をすることになっていますので、離職理由等の記載内容についても確認してください。離職後、「雇用保険被保険者離職票」が届きます。
- 在職中に「雇用保険被保険者証」を確認
- 離職前に離職証明書を書く。内容確認後本人が署名と捺印。会社がハローワークに提出
- 離職後に会社に「雇用保険被保険者離職表」が届く
- 雇用保険被保険者離職表
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード等)
- 身分証明書(運転免許証等)
- 写真2枚(縦3㎝×横2.5㎝)
- 印鑑
- 本人名義の通帳
詳しくは ハローワーク 受給資格の決定
その後「雇用保険受給者説明会」という説明会が開催されますので参加します。ここで受給に必要な「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ります。
3、すぐにもらえるの?どのくらいの期間もらえるの?
退職は多くが「自己都合」退職ですが、「会社都合」と呼ばれる「特定受給資格者」「特定理由離職者」というものがあります。
厚生労働省 ハローワーク 退職された皆様へのパンレットより
◆「 特定受給資格者」とは、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀 なくされた方であり、
◆「特定理由離職者」とは、特定受給資格者以外で、期間の定めのある労働契約が 更新されなかったこと、その他やむを得ない理由により離職した方です。それぞれ該当者の範囲が 定められています。
◆特定受給資格者・特定理由離職者に該当するかどうかの判断は、離職理由により、ハローワーク が行います。離職理由の判定は、事業主が主張する離職理由と、離職者が主張する離職理由を把握 し、それぞれの主張を確認できる資料による事実確認を行った上で、最終的にハローワークにて慎重に行います。
- 業績不振で給料が払われない
- 倒産
- 解雇 etc
- パワハラ等の嫌がらせの被害を受けた
- 事業所が遠くなった etc
特定受給者資格者の理由に該当するものは判断基準は下記に書いてあります。少し読みにくいですが。
厚生労働省・ハローワーク 離職された皆様へ から引用
- 会社都合の場合7日間の待機期間の後にすぐに支給開始になります。
- 自己都合の場合は7日間+3ヶ月の待機期間があります。
厚生労働省・ハローワークパンフレットより引用
- 会社都合の場合90日〜240日
- 自己都合の場合90日〜180日
4、いくら貰えるの?
厚生労働省・ハローワークパンフレットより引用
- 20万×6ヶ月=120万
- 120万÷180日=約6600円
- 6600円×8割=約5300円(1日)
- 5300円×30日=約15900円(月額)
- 15900円×90日=約477000円(月20万の人の失業手当総額)
5、一度説明会に出たら何もしなくても貰えるものなの?
ハローワーク パンフレットより引用
基本手当を受けるには原則として4週間に一度の認定日に失業の認定を受ける必要があります。
それには失業の定義を思い出してみましょう。
「失業」とは、離職した方が、「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている状態にある」ことをいいます。
つまり就職活動している状態ですね。就職活動の実績(求職した回数や面接の回数等)の実績の確認や、副収入をどれくらい受けたか?アルバイトなどはしていないか?などを確認します。
6、失業保険を貰った方が得だから転職に時間をかけた方がいいの?
ハローワーク パンフレットより
再就職手当
基本手当の支給日数(支給残日数)が所定給付日数の3分の1以上[3 分の2以上]ある場合は、支給残日数の6割[7割]に相当する日数に基本手当日額を乗じた額を受給できます。
- 月20万で90日支給だと1日約5300円(上記の参考参照)
- 例)所定給付日数が40日が残っていたら、40日×6割=24日
- 24日×5300円=127200円
失業期間や失業保険を有効活用するには?

- 時間とお金を考えて退職計画を考える
- 離職前に心身に余裕があるならば「ある程度の見通し」を立てる
【アドバイス1】時間とお金を考えて退職計画を考える

仮に3/31退職日で自己都合退職で90日支給の人ですと
- 最短で7/7までは貯蓄等で暮らす必要がある
- 最短の場合7/7〜10/7までは給付が出る
- 1年後の4/1までは申請期間なので、転職を後ろにずらいしても良い
- 貯蓄に余裕がないならすぐに就職できるよう退職時から就職活動に取り組む
- 貯蓄に余裕があるなら、すぐに給付をもらわずに旅行に行くなど今しかできないことに取り組んでも良い
- ハローワークが提供している職業訓練などもありこの機会に資格をとっても良い
【アドバイス2】退職前に心身に余裕があるなら「ある程度の見通し」をつけて退職する
退職前にもし心身に余裕があるならば、退職や失業保険も見越してある程度の見通しをつけておくと良いですね。下記の記事が役に立ちます。

ただし、心身の健康を崩す恐れがあるならばすぐに退職しましょう。またすぐに働けないなどがあれば受給期間の延長ができたりするそうです。ハローワーク等に相談してみましょう。
心身に余裕があるならば退職前に失業保険制度などをよく理解し、自分の人生に役立ててくださいね。
まとめ 制度を知り、活用し、自分に合う職場を探してください

しばらく休んで旅行に行くもよし。違う活動をするでもよし。また仕事をしたくなったら失業保険を活用出来ます。
制度を知っていれば、違うしたい活動も出来たり色々な体験も出来ます。
金銭的に余裕があれば、焦らず自分に合う職場や仕事を見つけることが出来ますね。