介護福祉士になってケアマネになりたいという人は多いですが、最初から相談支援専門員になりたいと人は多くないでしょう。
同じように社会福祉士や精神保健福祉士を取りたいというニーズは高いと思いますがそこから相談支援専門員になりたいという人も多くありませんね。
相談支援専門員はまだまだ不足していますし、今後ますます増えてきます。ケアマネと同じポジションでありながらその役割はかなり大きいです。
利用者の生活を良くも悪くも左右する貴重な役割です。
実際のところどうなのか?等なるべく福祉の現場の職員ならではの解説をしてみたいと思います。
ちなみに私の経歴は下記です。
- 居宅介護事業所のサービス提供責任者
- 事業所は指定相談支援事業所も併設されていて相談支援専門員がいる
- 相談支援専門員とも多く絡むポジション。
- 現在相談支援専門員の研修を受講済み。
2020年12月現在実際に相談支援の仕事をしているわけではありませんが近いポジションにいるので、客観的な分析もできる立場かと思います。
と言うわけで相談支援の仕事に興味ある人、今後なろうかと考えている人には読んで欲しい記事です。
相談支援の仕事に興味ある人、今後なろうかと考えている人に
相談支援専門員に客観的な立場にいる私が
わかりやすく解説した記事
相談支援専門員とは?現役福祉職員がわかりやすく解説。

相談支援専門員とは?
障害のあるひともその人らしく地域で暮らし続けることが出来るような支援(生活支援)をすること。あるいはそれを実現する社会を創り出すこと(地域づくり)
- 障害者等の相談に応じ、助言や連絡調整等の必要な支援を行う。
- サービス等利用計画の作成を行う
- 地域生活への以降に向けた支援
- 利用者の支援に必要な資源を創り出す
「利用者の人生を地域で支援する」と言う大事な役割のポジションです。利用者をケアマネジメント(インテーク・アセスメント・モニタリング)する中で必要な社会資源を創り出す重要な役割もあります。
サービス等利用計画ってなに?
様々な福祉サービスやその人の周りの環境の利用を通して、ご本人やご家族の希望する生活の実現、目標の達成に向けて作成するためのものです。
サービス等利用計画案が福祉サービス申請する際に必要?
平成24年4月の障害者自立支援法の一部改正により、市町村は障害福祉サービス等の支給申請者に対し、サービスなどの支給決定前に「サービス等利用計画案」の提出を求め、これを勘案して支給決定を行うことが定められました。
利用者の支援に必要な社会資源を創り出す?
利用者をケアマネジメントをする中でその市町村に足りない資源などを創り出すと言うことも大きな役割の1つです。
例えば市町村には自立支援協議会と呼ばれる市の福祉サービスを決める役割をする会議があるのですが、部会などで意見をまとめ実際に市町村(や国の)福祉サービスに反映していきます。
地域生活への移行に向けた支援(地域移行支援・地域定着支援)
地域移行支援は、入所施設や精神科病院等からの退所・退院にあたって支援を要する者に対し、入所施設や精神科病院等における地域移行の取組と連携しつつ、地域移行に向けた支援を行うものです。
地域定着支援は、入所施設や精神科病院から退所・退院した者、家族との同居から一人暮らしに移行した者、地域生活が不安定な者等に対し、地域生活を継続していくための支援を行うものです。
一般相談支援事業所と特定相談支援事業所と言うのがあるのでややこしいのですが、一般の方が地域移行支援で特定の方が計画相談を作る事業所です。
相談支援専門員はどこに勤めるの?

どこに併設されているか?
なかなか相談支援事業所単体での運営は収支の状況からも難しいてす。そこで多くは2つの形で運営しています。
- 大きな法人や医療法人で、相談支援事業所を運営している
- 居宅介護事業や通所施設、放課後等デイサービス等に併設されている
併設の場合は現場を知ることから
併設されている事業所の場合は併設されている施設の利用者が主に相談支援の相手になりますので、まずは現場を知ることからになります。
県のホームページなどで相談支援事業所を調べられる
県のホームページなどで相談支援事業所を調べられます。
仮に求人を出していなくてももしかしたら募集しているかもしれませんので問い合わせてみると良いです。
もちろん実績を問われるので未経験ですと現場からになることが多いです。
指定一般相談事業所と指定特定相談支援事業所の違い
計画相談を作る事業所
地域移行支援や地域定着支援を行う事業所
相談支援だけか地域移行も行っているかは事業所を県のホームページ等で調べられます。
市町村から一般相談を委託された相談支援事業所もある
市町村が独自で行なっている場合もあるし、市町村から委託されている事業所もあるのですが、
障害のある人の福祉に関する様々な問題について、障害のある人等からの相談に応じ、必要な情報の提供、障害福祉サービスの利用支援等を行うほか、権利擁護のために必要な援助も行います。
今後、基幹相談支援センターが設置される
今後は基幹相談支援センターといって地域における相談支援の中核的な役割を担う機関が設置されます。
相談支援専門員になるにはどうしたらいいのか?

ケアマネージャーになるには、介護福祉士で経験5年と研修でなれます。しかし相談支援専門員はちょっと複雑です。
実務経験3年〜10年 ➕ 相談支援初任者研修
でもこれが結構複雑!
実務経験は幅広く複雑。3年〜10年まで色々。
主に3つの段階に分かれます。
- 3年(経過措置でほとんど該当者なし)
- 5年(多くの該当者)
- 10年(無資格者)
実務経験の数え方 1年で180日以上の勤務があれば
3年で540日なので1年に直すと180日の勤務が1年間の実務経験と捉えられます。
実務経験 3年以上の実務経験とは、業務に従事した期間が通算して3年以上であり、かつ当該業務に従事した日数が54 0日以上であること。
○3年以上(540日以上) ○5年以上(900日以上) ○10年以上(1800日以上)
年間180日の勤務=1ヶ月に15回の勤務。週3くらい。
実務経験3年と言うのは経過措置なのでほとんど該当者がいない?
実務経験3年と言うのは経過措置で作られた年数で、平成18年までの話ですので、ほとんど該当者がいないでしょう。
通算3年平成18年10月1日において現にイ又はロに掲げる者であるものが、平成18 年9月30日までの間に相談支援業務等に従事した期間
イ 障害児相談支援事業、身体障害者相談支援事業、知的障害者相談支援事業 の従事者
ロ 精神障害者地域生活支援センターの従業者
実務経験5年。多くの該当者の可能性
資格 + 5年の経験
ではその具体的な経験の内容を確認したいと思います。経験は2つの項目に分かれます。
- 相談支援の業務の経験
- 介護等の業務の経験
相談支援の業務の経験
相談支援等の業務なので主に相談員やソーシャルワーカー等に当たりますね。
特に相談業務5年に至っては資格の有無などは書いていないものが多いですね。しかし相談業務をやるには何かしらの資格があって就職していると思いますので、結果的には何かしらの、資格が必要になってくるかと思います。
イからヘまでに掲げる者が相談支援業務等に従事した期間(5年)
イ 障害児相談支援事業、身体障害者相談支援事業、知的障害者相談支援事業
ロ 児童相談所、身体障害者更生相談所、精神障害者地域生活支援センター、 知的障害者更生相談所、福祉に関する事務所その他これらに準ずる施設の従 業者又はこれに準ずる者
ハ 障害者支援施設、老人福祉施設、精神保健福祉センター、救護施設及び更 生施設、介護老人保健施設、身体障害者更生施設、知的障害者更生施設、精 神障害者社会復帰施設、指定居宅介護支援事業所その他これらに準ずる施設 の従業者又はこれに準ずる者
ニ 病院若しくは診療所の従業者又はこれに準ずる者 ただし次の①〜④に限る
①社会福祉主事任用資格者 ②訪問介護員2級以上に相当する研修の修了者
③下記の国家資格(※)を掲げる資格を有する者 ④イ〜ハまでに掲げる従業者である機関が1年以上のもの※医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、技師装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士
ホ 障害者職業センター、障害者雇用支援センター、障害者就業・生活支援セ ンター
ヘ 盲学校、聾学校、養護学校その他これらに準ずる機関(障害のある児童及 び生徒の就学相談、教育相談及び進路相談の業務)
5年間の相談業務の経験で資格が必要なのは病院や診療所の相談に当たる部分の方。
でも相談業務をする時点で何かしらの資格が必要。
介護支援の業務の経験
介護等の直接の業務の経験です。こちらの方が一般的かもしれません。
ポイントは「等」で下記のどれかが必要です。
- 社会福祉主事任用資格
- 訪問介護員2級以上に相当する研修の修了者
- 保育士
- 児童指導任用資格者
- 精神障がい者社会復帰指導員
介護福祉士などの国家資格はまた別の項目があります。
イからハまでに掲げる者であって、社会福祉主事任用資格者等が、介護等の業務 に従事した期間
イ 障害者支援施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、病院又は診療所の病 室であって療養病床に係るものその他これらに準ずる施設の従業者
ロ 障害福祉サービス事業、老人居宅介護等事業その他これらに準ずる事業の 従事者又はこれに準ずる者
ハ 病院若しくは診療所又は薬局、訪問看護事業所その他これらに準ずる施設 の従業者
国家資格の保持者はまた別の5年カウント
下記の国家資格をお持ちの方はまた別の5年カウントになります。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、技師装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士、栄養士、精神保健福祉士
国家資格等に基づく業務に通算して5年以上従事している者が、相談業務及び介護業務 に掲げる業務に従事する場合3年間の実務経験
●助産師として5年働き、そのうちの2年は病院での相談業務をやった
●障害者施設で5年勤めて、そのうち介護福祉士を取得した。
無資格者で介護経験の方は10年の経験が必要
資格を何も持っていなくて、直接の介護経験のみですと10年が必要になります。
イからハまでに掲げる者であって、社会福祉主事任用資格者等(※2)でない者 が、介護等の業務に従事した(10年勤務した)期間
イ 障害者支援施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、病院又は診療所の病 室であって療養病床に係るものその他これらに準ずる施設の従業者
ロ 障害福祉サービス事業、老人居宅介護等事業その他これらに準ずる事業の 従事者又はこれに準ずる者 ハ 病院若しくは診療所又は薬局、訪問看護事業所その他これらに準ずる施設 の従業者
ハ 病院若しくは診療所又は薬局、訪問看護事業所その他これらに準ずる施設 の従業者
まとめ 相談支援専門員は今後注目される仕事

各市町村で今後基幹相談支援センターの設置が義務付けられいるので今後相談支援専門員がますます必要になってきますし、重要なポジションです。
しかし問題もあります。
コロナ化で研修が受けられない?
2020年のコロナ化で研修が人数限定になり受けられないと言う地方自治体もあったのではないでしょうか?
私自身は受けられましたが、各施設にひとりなどの限定がありました。今後はどうなっていくのか?オンラインのみの研修になるのか?動向を見守る必要があります。
相談で動かないから楽ではない
主観ですが各相談員を見ていますが皆さんとても激務です。もちろん働き方にもよりますが。時間になっても雑務が山ほど残っていて帰れない。昼も食べる時間ない、夜も遅くまで残っているなどもあります。
激務だが、とても重要なポジションになることは間違いない
激務なのは相談支援専門員の立場で利用者やその市町村に住む方の人生が大きく影響があるポジションであるからです。
激務だが、すごく大事なポジション。やりがいはある。
とはいえ、相談支援専門員の実際に行うと色々な問題も出てきます。記事にまとめました。
