こちらの記事は下記の記事を踏まえての記事なので下記を読んでからこの記事を読まれることをお勧めします。
篠原です。
私は2020年5月現在、現役のサービス提供責任者です。この記事では居宅介護事業所におけるサービス提供責任者の実情や必要な能力、そしてぜひお勧めしたい人を書きたいと思います。
なおサービス提供責任者の仕事を知りたい方や資格要件、仕事内容が知りたい方は下記の記事を先に読んでください。
実情を伝えたいので例えばこんな内容です。
- リアルな仕事時間の内訳は?
- 何に苦労するのか?
- 必要な能力は?
- 得られるスキルや能力は?
現役サービス提供責任者がお伝えする
- サービス提供責任者のリアルな仕事内容の実情は?
- ぜひサービス提供責任者の仕事にお勧めしたい人は?
サービス提供責任者のリアルな仕事内容10の実情

私は以前、同じ法人の通所施設の福祉職員でしたが、サ責の職員と通所の福祉職員の仕事を比べた際に仕事のスタイルが全く変わります。私がサ責の仕事に感じる10の実情は下記です。
- 情報量が半端ない
- 電話やメールに振り回される
- 労働時間の半分が事務。半分が現場。移動も多い。
- 時間のやりくりが問われる
- 相談員や行政や他事業所との連携もあり
- 悩み相談も多い
- 説明や交渉能力も問われる
- 請求も関わるのでコスト意識も問われる
- 行政からの通達や福祉制度も把握する
- 研修などで教えることも多い
【実情1】情報量が半端ない
通所の福祉職員をしていたころに比べると「情報量」がものすごく増えます。
- 利用者●●さんの時間が変わったのでヘルパーの○○さんへの連絡をお願いします
- ヘルパーの○○さんから今週末の●●さんの外出先はどうしたら良い?と連絡がありました。
- ●●事業所の相談員から新規利用者を受け入れたいとのこと
- ●●さんが来月の●●について聞きたいので連絡が欲しいとのこと。
メモの処理だけで数時間を使ってしまいます。頭の中はパンパンになってしまいます。電話やメールを使いどんどん情報を処理していきます。
なぜ情報量が増えるかというとサービス提供責任者は全ての中枢にいる役割だからです。


【実情2】電話やメール、ファックスに振り回される
通所や施設の福祉の職員であればそんなに連絡などは施設内ですが、サ責になると内部外部問わず連絡が多いです。会社契約の携帯を持っています。
ほとんどありませんが下手すると休みの日にも連絡があることがあります。
相談員の職業もそうですが、つい公私混同してしまうので緊急時以外は仕事時間以外は関わらないという暗黙のルール作りが必要です。
【実情3】労働時間の半分が事務。半分が現場。車、電車、自転車での移動も多い。
サ責でも現場に入る必要があります。
- ヘルパーさんでは対応が難しいケースや利用者
- ヘルパーさんがいなくて出来ない
- 長期の運転など事故のリスクが高い仕事 etc
実は移動時間というのも結構あります。居宅介護の場合は家に行く必要あるので家に行ったり、市役所や他事業所にも行ったりもします。
【実情4】時間のやりくりが問われる
サ責になると時間のやりくりをどう使うが問われる仕事です。ぼーっとしていたらどんどん雑務がたまるし、時間が過ぎてしまいます。
例えばA地点に行くのにだいたい10分くらい前にはつきます。10分で出来ることは結構ありますよね。電話、メール、シフトを確認、やるべきことを確認、、、、etc。隙間時間を十分に工夫します。
【実情5】相談員や役所や他事業所との連携もあり
先ほどのサ責の関係図はシンプルにしたもので、実はもっと複雑になっています。役所や他事業所も関わっています。そことの連携も欠かせません。

コミュニケーション能力もとても問われる仕事です。施設などの福祉職員では「利用者」だけですが、一人の利用者の周りとの連絡調整も欠かせないので福祉サービス全般がわかります。
事業所によっても違いますが、障害も身体、知的、精神。年代も高齢者から児童まで色々な方がいます。生活保護の利用者もいれば、介護保険との併用もしている利用者も多いです。
色々な社会福祉のケースに出会える仕事です。
【実情6】悩み相談も多い
福祉や介護の仕事していていずれは相談員の仕事がしたくて、社会福祉士や精神保健福祉士を取られる方も多いですよね。
こういう場合はどうしたらいいか?など悩み相談もあります。ソーシャルワーカーさんや相談員になりたい人もいると思いますが、資格がなかったら出来ないなどもありますが、サービス提供責任者は介護福祉士で出来ますからいち早く相談業務に近いことは出来ます。
【実情7】説明能力や交渉能力も問われる
至る所で説明や交渉能力も問われます。
- 支援内容をヘルパーに説明する
- 利用者に制度や支援の説明をする
- 相談員に利用者の状況を説明する etc
利用者との支援でも無理難題や困った要求も多いです。ヘルパーさんを守るためにもルール作りなども必要で、その際は交渉能力などが問われます。特に支援はグレーゾーンが多くどうして良いかわからない場合も多いです。
- あのヘルパーは嫌だ。このヘルパーだけにしてほしい
- この利用者に●●を言われた。どうしたらいい?
- お酒を飲みにいきたい。ヘルパーさんも一緒に飲んでほしい
- (支援者がいないのに)もっとたくさん支援に入ってほしい etc
その際もありとあらゆるところから情報を探り、利用者やヘルパーさんにとって良いところの着地点を考え、探します。
なんでも「ハイハイ」ではなく「これは●●だからこうしていください」と利用者やヘルパーさんに話をつけることも多いです。
【実情8】請求も関わるのでコスト意識も問われる
私は請求業務もやっています。請求業務は事務員さんがしてくれる事業所も多いです、少なくともこの利用者だと単位がいくつで、何時間でおおよそどのくらいの請求になるかわかっていないといけません。
例えば1000円の仕事で交通費が1000円以上かかる人を頼んでは赤字になります。
福祉はお金ではないというかたもいますが「事業」として行なっている以上、そこには費用や経費が存在します。ある程度のコスト意識も持つ必要があります。
【実情9】行政からの通達や福祉制度も把握する必要がある
2020年のコロナショックでは毎日行政からの通達があり、なんどもなんども文章を読み込みました。
福祉サービスも現状により変わることもあるので「この場合は移動支援なら良い」など行政などの文章を読み込んだり、福祉の制度のことを学ぶ必要もあります」
【実情10】研修などで教えることも多い
事業所の運営の際必ず教えなくてはいけない研修などがあります。「虐待研修」などです。
資料を作ったり、要点はどこなのか?学んで、ヘルパーさんに研修などで伝える必要があります。
研修能力もつきます。
篠原が思う、ぜひサービス提供責任者の仕事にお勧めしたい人は?

サービス提供責任は大変な仕事ですが、活用次第ではとても活かせる職種だと思いこの記事を書きました。
- 福祉の世界で生きていきたい人
- 将来相談員(介護保険ではケアマネ)になろうと思う人
- 管理者や出世したいと思う人
- 自分で事業や独立をしたいと目指したい人
【おすすめ人1】福祉の世界で生きていきたい人
自分はずっと福祉の世界で生きていきたいと思う方です。施設ですとその施設にいる利用者しか関わりませんが、サ責は介護福祉士で出来る割に、幅広く多くの方と関わります。
- 介護福祉士で出来る(社会福祉士やケアマネに比べ資格取得のための労力や時間はいらない)
- 利用者も色々なケースの人がいる
- 行政からの情報や福祉制度も学ぶ必要がある
- 請求にも関わる
【おすすめ人2】将来相談員(介護保険ではケアマネ)になろうと思う人
いずれ相談員やケアマネになろうとしている人です。
- 相談員(ケアマネ)とも絡むことが多いので情報も入りやすい
- 介護福祉士で出来る
- 人脈も作りやすい
- 悩み相談も多い
- 福祉全般を知ることが出来る
- 居宅介護計画を作る
- 現場も体験できる
相談員やケアマネ、ケースワーカーになろうとしている人にはおすすめしたい職種です。
【おすすめ人3】管理者や出世したいと思う人
何をしたら良いかわからないけど、とにかくいずれば管理者や出世したい人にはおすすめの職種です。
- 幅広く経験を積める
- 組織の中枢的な存在である程度マネジメントも必要な役割
- ヘルパーさんに指示する役割
【おすすめ人4】自分で事業や独立をしたいと目指したい人
将来自分で事業や独立を目指したい方にもおすすめします。介護福祉士だけでなれますから時間もそれほどかからず多くの経験を積むことが出来ます。
- 請求にも絡むのでコスト意識も学べる
- 幅広い人と関われる
- 行政とも絡むのでよくわかる
まとめ 過去二回挫折。すごく嫌だったサ責の仕事ですが・・・

- 28歳の頃、いずれ独立しようと決意し、小さい老人の訪問介護事業所に就職したが仕事や人間関係が合わず半年で退職。
- 35歳で独立し、失敗し、出戻りになり、2年サ責を経験。その後通所の主任に引き抜かれ2年通所にいて、そのあと職員の体調不良などで、もう一度サ責に戻れと言われたが、最後まで断った。
とはいえ法人内でやる人がいないので渋々やりました。
しかし、どうせやるなら色々目的意識を持ってやろうと思いました。私の場合ブログを書いているので下記になります。
- 大変な職種ですが、色々勉強になったり試したことを書ける
- 人手不足など問題は多いが自分が起業で身につけたことを試せる
毎日大変ですがなんとか少しずつ職場も変わってきています。
参考になれば幸いです。
大変な職種だが自分なりの目的意識を持てばそれを活かせることができる。