現役福祉職員の篠原です。
最近注目されている福祉の仕事や資格で「同行援護」の仕事があります。昔はガイドヘルパーと呼ばれてしましたが、今は障害者総合福祉法の福祉サービスで「同行援護」というサービスになります。
でもね、実はもし未経験者ならいきなり同行援護の資格を取らない方が良いんです!
同行援護の資格もスクールに通うと2万〜4万はかかります。それを負担して取得したところで無駄になってしまうこともあるからです。
そして何より「同行援護」に恐怖心を抱いて結局出来なくなってしまうことがあるからです。
詳しく解説して行きます。
Contents
こんな人は要注意。同行援護の資格をいきなり取らない方がいい人

同行援護資格取得を控えた方がいい人
✅福祉の仕事がほとんど未経験だが福祉の仕事に興味があり、まずは資格を取ることを入り口に考えている人
✅同行援護の仕事に興味があるが「自分にできるのか」わからないので、とりあえず資格を取りに行こうと考えている人
✅何がしたいかわからないが手に職をつけるという意味で、とりあえず資格取得が目的で、他の資格に比べ安いからという意味で同行援護を取得しようとしている
✅福祉の資格=安定という思いで取ろうと考えている人
それならばとにかく実際の利用者と接した方が数倍勉強になるしやる気にもなります。「あ〜同行援護ってこういうのね」とイメージが湧きます。
別の方法で実際の現場をお金を払わずに体験できます。
逆にこんな人はすぐにでも取った方がいいです。
✅すでに事業所に勤めていて、同行援護の仕事があり資格を必要としている。
→この場合も事業所に資格取得の資金を出してくれないか相談してみる
同行援護の仕事をしっかりやれば資格取得資金2万〜4万を回収するのは結構簡単なので仕事として行いたいという人はすぐに取得をオススメします。
初心者でこんな目的だったら同行援護の資格取得を控えた方が良い3つの理由
□安定安心のため
→資格は働くために必要であり、取得だけでは安定安心にはならない
□福祉に興味があるから
→福祉の仕事に興味があるという目的なら、実際の利用者に触れた方が意欲も湧くし勉強になる
□スクールで教わる基礎基本を習い「難しい」と断念してしまうから
→分からなければ利用者に聞けば良いし、ガイドは回数を重ねれば上達します。
まずは利用者に触れてみましょう。
同行援護とはどんな仕事?どんな資格が必要でどんな能力が必要なの?生活できるの?詳しく解説

同行援護ってどんな仕事?仕事に必要なポイントは?
独立行政法人福祉医療機構さんが運営するWAMNETのサイトがわかやすい解説をしてくれています。また視覚障害については視覚障害ハンドブックが参考になります。それを表にまとめました。
支援する人 | 移動に著しい困難を有する視覚障害のある方。全盲の方から弱視の方まで様々。利用者は比較的高齢の方が多いが、若い40代の方も多い。基本トイレもあるので同性介護だが事業所により異性介護もある。 |
何をする? | 本人に同行し、移動に必要な情報の提供を適切にかつ効果的に行う。移動の援護、排泄、食事等の介護。外出先での情報提供、代読、代筆なども行う。 |
ここでポイントがあるのですがそれが移動の情報の提供を適切にかつ効果的に行う。というわからない文章ですね。
例えば弱視の方と、全盲の方だと見え方が違います。弱視の方で見える情報は伝えていたら逆に余計なお世話になります。逆に全盲の方が必要としている情報は提供しなくてはなりません。かといって全てが全て提供すれば良いという訳ではないんです。場面場面では伝える必要がない時があります。よは「決めつけ」しないということですね。
全盲の利用者と音楽のコンサートに行きました。舞台で何が行われているか、今どんな場面なのか伝えるのが基本なのですが、私は伝え過ぎてしまい、肝心の音楽が聞こえず「黙ってていいです」と言われてしまいました。
大事なのはその利用者と良くコミュニケーションとることが大事ですね。それでその人に取って必要なことを提供するということ。利用者や場面によっても求められていることが違う利用者に聞きながらその人に取って何が今必要か聞いていきます。
どんな資格が必要なの?
① | 同行援護従者養成研修(一般過程)の修了者 |
② | 居宅介護従事者の要件を満たし、1年以上視覚障害に関する実務があるもの |
③ | 国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科の強化を履修した者またはこれに準ずる者 |
平成30年3月までは、初任者研修や介護福祉士だけで出来たのですが、今は②の「居宅介護従事者の要件を満たし」が初任者研修や介護福祉士なのでそれに加え、視覚障害の方の関連施設などで実務経験を1年積む必要がありますね。
サービス提供責任者になる可能性があるのなら応用過程を受ける必要がありますね。
同行援護を提供できる事業所を探そう
仕事をするには主に同行援護サービスを提供できる事業所に勤めることです。その事業所により同行援護を提供していないことがあります。障害福祉サービス事業所検索などでお住いの地域に同行援護を行なっているか検索してみましょう。
事業所の雇用形態はパートか登録ヘルパー
ほとんどの事業所で雇用形態としては「登録ヘルパー」か「パート」の形態を取っています。
基本は利用者のニーズに合わせてサービスを提供するのでそもそも時間も不安定で雇用が安定しません。時給1000円は超えますが現場一本で同行援護だけで生活するのは厳しいそうです。
ただ大体事業所では重度の知的障害の方を移動の支援を行う「行動援護」などもあるのでそれらを全て組みあわると月10万は超えそうですが、なかなか生活レベルに達する給料を仮説のは厳しいです。
事業所としてパートとして雇ってもらえば、それ以外の時間「事務仕事」が出来などをさせてもらえます。8時間として5日働き月に16万です。居宅介護事業所ではかなり事務があるのでパソコンなどに詳しい方などは良いかもしれません。
正規職員はサービス提供責任者や相談員などで他の雑務や責任がぐっと増えます。個別支援計画やサービス等利用計画の作成、シフトの作成などで事務量が一気に増えます。大体が現場と兼務なので月の労働の半分は現場で半分は事務ぐらいの時間配分です。
登録ヘルパーの多くがすでに年金をもらえていて副収入的に仕事をしているか、本業があり休みの日に副業で登録ヘルパーとして働いています。同行援護は老人の訪問介護などに比べ長い時間の仕事が多く逆に副収入的な仕事と考えるととても有意義な仕事になります。パートの方は逆に時間が安定するので子育て中の方などがいます。
実際の同行援護の魅力と現場で使う能力

検索してもなかなか同行援護の現場の体験談のようなものってわかりませんよね。実際行ってみると仕事の魅力やまたこんな能力が求められるの?というものがあります。それを解説しますね。
長時間の仕事があり、副収入的な稼ぎ方としては良い
老人の訪問介護は、掃除や食事作り排泄介助などの仕事多く、1時間〜1.5時間程度の仕事です。逆に同行援護の仕事は基本外出の手助けなので、散歩や買い物、外出先のなどが多く1時間からの仕事から長いと7時間などの仕事があります。時給1200円ほどの事業所が多いため、7時間ですと1日8400円程になります。
初心者でも入りやすく会話を楽しめる仕事
精神障害の方や知的障害の方への外出支援の仕事に「行動援護」や「移動支援」という福祉の仕事がありますが、精神障害の方や知的障害の方と接するとき特有のコミュニケーション能力が必要だったり支援も難しいのですが、同行援護ですと普通に会話が出来ますので分からないことは基本利用者に聞けますので、初心者の方でも入りやすい仕事です。
ガイドが怖いという方もいますがガイドの方はスクールに通い数をこなせば身につきます。
ただ中途で障害を抱えた苦しさなどを抱えていますので、その部分を理解出来る受容や共感するコミュニケーションが必要です。
利用者の同行で色々な所に行ける体験も
外出支援では利用者にもよりますが希望は様々です。色々な要望があります。
「好きなアーティストのコンサートに一緒に行って欲しい」
「日帰り旅行に付き添って欲しい」
「講演会に行きたいから付き添って欲しい」
「お祭りに参加したいから付き添って欲しい」
「視覚障害の方の集まりに参加したい」etc
利用者の要望なのでそれぞれですが、自分一人では行けない体験をすることも多々あります。一緒に楽しんで行ける人が喜ばれますね。
方向音痴の方は電車の事前準備+スマホのアプリ+現地で聞きまくるのが良い
外出の支援は基本公共の交通機関を使います。しかも分からない場所に行くことがほとんど。中には極度の方向音痴という方がいます。そんな方は事前に地図や電車やバスを調べるのはもちろんですが、役に立つのがスマホのアプリですね。地図アプリや電車バスの乗り換えをパッと調べるアプリが現地では必要になります。それだけでなく分からなければ駅員や聞ける人に現地でパッと聞いてしまうのが良いでしょう。
役に立っているという実感が得られ、ありがとうと直接言われる仕事
仕事のモチベーションで「人のためになっている」という感覚がありますが、同行援護はそれをもろに得られる仕事です。利用者は外出サポートがあることで自分のしたいことが出来るので喜ばれますし、言葉で「ありがとう」と言われることが多いです。仕事としてのモチベーションも上がります。
初心者が同行援護の資格を無駄にしないための具体的な工夫

では同行援護の資格や仕事に興味がある人が資格を無駄にしないためには一体どうしたら良いのでしょうか?それはこれです。
ボランティアや見学などをして実際の利用者に触れてみる体験を積む
実際の視覚障害を持つ利用者関わることで同行援護のイメージが付きますし、スクールの内容も頭に入ってきます。あくまでも資格(スクール)は実際の現場に円滑に入れるための勉強であり、勉強のための勉強ではありません。
視覚障害を持つ方の定期的な集まりに参加してみる
視覚障害を持つ方が定期的に集まり体操や、旅行などをしている会があります。そんなものを地域で検索して探して参加させてもらいましょう。ボランティアなどを募集している可能性もありますし、また見学なども歓迎されるでしょう。
視覚障害の方の歩行訓練施設などに連絡してみる
地域に視覚障害の方の歩行訓練施設があります。そこでは白杖の歩行訓練などを提供していますが、そこでも見学やボランティアなどをお願いすれば参加させてもらえるでしょう。まずは連絡してボランティアや見学をお願いしてみましょう。
視覚障害の方の福祉施設などに連絡してみる
視覚障害の方が仕事などをする福祉施設があります。検索してみてお住まいに地域にある方はボランティアや見学をお願いしてみましょう。福祉施設は基本人手不足で人材が欲しいのでボランティアなども受け入れてくれるでしょう。
まとめ やってみたいという気持ちを無駄にしないで

人手不足だし、少しでも現場の魅力を分かってもらえれば少しは違うのでは?と思います。「やってみたい」と思う気持ちを無駄にしないためにも、一歩を踏み出し実際の利用者に触れれば、仕事の魅力などもわかると思います。